暮らしの知恵

はじめに

住宅の性能を評価するための指標の一つとして、C値というものがあります。この記事では、C値とは何か、暮らしにどのように関わるのか、メーカーによるC値の公表や基準が存在しない理由について解説していきます。

1. C値はどんな意味

C値は、住宅の気密性能を表す指標で、隙間からの外気の侵入をどれだけ抑えることができるかを示します。数値が低いほど、気密性が高くなります。C値が高くなると、空気質・温度・湿気・音の侵入が少なくなり、快適性が向上します。

 

2. C値が暮らしにどう繋がるか

C値が良い住宅は、外気の侵入を抑えるため、室内温度が一定に保たれやすく、冷暖房の効率が良くなります。また、外部の騒音や花粉が入りにくくなるため、快適な住環境が実現できます。人が1日に呼吸する量は15000リットルと言われており、そのうち60%が室内の空気だそうです。外のホコリや花粉が入りにくくなるだけで健康面に優しい家となりますが、お掃除のしやすさにも影響します。

窓を閉めた状態でも換気システムの効率が上がり空気の流れを作りやすくなる。

熱のロスを防ぎ冷暖房効率が良くなる。室内の音漏れが少なくなり、また室外の音も聞こえにくくなり静かな空間になる。逆に、C値が悪い住宅では、エネルギー効率が低くなり、光熱費が増加することがあります。

 

3. C値を公表しないメーカーが多い

住宅メーカーの多くは、C値を公表していないことがあります。これは、C値を測定するための国の基準がないため、比較が難しいからです。また、C値だけでなく、他の性能指標も併せて考慮する必要があるため、メーカーがC値を重視していない場合もあります。一方で、以前は国の方でもC値の基準は公表されていましたが現在では基準がありません。

 

4. C値の基準がないから必要かそうでないか

C値の基準がないため、必要かどうかは個々の住宅や住まい手のニーズによって異なります。一般的には、C値が低いほど快適性や省エネ性能が高まることが期待できますが、他の性能指標も考慮することが重要です。例えば、耐震性や断熱性能なども住宅の性能を評価する上で大切なポイントです。そのため、C値だけに注目するのではなく、全体的な住宅性能をバランスよく評価することが大切です。一方で、C値は施工技術に依存する指標で、現場の施工が悪ければ当然悪いC値になってしまいます。家を商品と例えるなら、品質をどう保証するのでしょうか。C値と言う気密性は、品質そのものと言っても過言ではありません。実は、C値は快適な暮らし心地に紐づく重要な指標だからです。あなたがご自身の家をつくってくれる人は、下手な職人さんにお願いしますか?

 

5. C値が良いと隙間が全くないのか

C値が良い住宅は、確かに隙間が少なく、気密性が高いと言えますが、それが「全く隙間がない」とまで言い切ることはできません。住宅には、換気のための意図的な隙間や、建築時に避けられない隙間が存在します。大切なのは、適切な換気設備を設置し、建築時に隙間を最小限に抑えることです。大事な点なのでもう一度記載をします。C値は、建築時に隙間を止めることが最優先です。それはいつか?外壁工事の前に家の隙間を確保出来た段階で、配線・配管工事などの穴あけ工事前に実測します。このタイミングで気密性が悪いと言うことは、その後の工事も隙間を解消されず、各工程の職人がそもそも気密性を確保する工事を意識していない可能性が非常に高くなるのです。

 

6. C値が悪いとどうなるか

C値が悪い住宅では、外気の侵入が多く、室内温度が一定に保ちにくくなります。その結果、冷暖房の効率が低下し、エネルギー消費が増えることがあります。また、外部からの騒音や花粉などの侵入が容易になるため、住環境が悪化することも考えられます。これは盲点かもしれませんが、虫の侵入も可能性が増えます。弊社はC値=0.5以下を引き渡し基準としており、通常このレベルで家全体で換気などの必要な穴を除き5センチ程度の隙間しかありません。因みに、直近40棟の実測値平均は0.29以下でお引渡ししております。

 

7. C値はオプションでしてもらえるのか

住宅メーカーや工務店によっては、C値の測定をオプションとして選択できることがあります。これにより、住宅の気密性能を向上させることができますが、コストがかかる場合もあります。また、C値を向上させるだけでなく、適切な換気設備の設置や、他の性能指標も考慮して、全体的な住宅性能のバランスをとることが重要です。弊社の考えとしては、日頃気密性を確保していない住宅会社が、お客様の要望で実測したとしても良い数字は出ないと考えております。事実、弊社が28年前から高気密高断熱住宅のスーパーウォール工法を軸として採用しており、毎年欠かさず気密測定を実測し続けてお施主様に性能報告書を提出しております。C値は机上の空論ではなく、実測が必要といった点が、弊社が重要視している理由です。

 

8. C値はどのように計測するか

C値の計測は、専門機関や住宅メーカーが行うことが一般的です。弊社は株式会社LIXILへ第三機関として計測を依頼しております。因みに、スーパーウォール工法は必ず測定を行います。 計測方法としては、住宅内にある開口部(窓やドア)を封鎖し、特定の圧力差を作り出すことで、外部からの気流量を測定します。この気流量をもとに、住宅の気密性能を数値化し、C値を算出します。ただし、C値の計測方法にはいくつかのバリエーションがあり、国や業界団体によって異なる基準が設定されている場合もあります。そのため、C値を比較する際には、同じ基準で測定された数値を用いることが重要です。一方で先にもお伝えしたように、気密測定を行っている住宅会社は非常に少なく、測定をしているだけでも絞り込みが出来ると思います。

現状全てを統一した測定は難しいでしょう。結論としてはそれを一つの物差しと考え、「気密・断熱・換気・空調」この4つのバランス+安全安心を見ていくことが望ましいです。

 

まとめ

C値は住宅の気密性能を表す指標であり、数字が低いほど気密性が高くなります。C値が良い住宅は室内温度の安定やエネルギー効率の向上に寄与しますが、基準が存在しないため、メーカー間での比較が難しいという課題があります。C値だけでなく、耐震性や断熱性能など他の性能指標も考慮し、全体的な住宅性能をバランスよく評価することが重要です。住宅選びの際には、C値を含むさまざまな性能指標を理解し、自分のニーズに合った住宅を選ぶことが求められます。

弊社は新築住宅を行う際に、建築途中の構造見学会を開催させていただいておりますので、どのようにして気密性を確保するかや、家の中身にご興味がある方にはぜひおすすめします。もちろん、これまで28年間高気密高断熱を取り組んだ弊社としていつでもアドバイス出来ますので、ぜひお客様の夢のマイホームに活かしていただきたいです。